POWER DRESSING & POWER MOVES

温暖化で年々猛暑が厳しくなっていくにもかかわらず、それでも仕事ではスーツを着なくてはならない男性にはとても気の毒な季節だ。
しかし、皆が暑さでヨレヨレしているなか、強い陽射しにも負けず、颯爽とスーツを着こなしている男性は、ひときわすがすがしく、美しく、素敵に、そして信頼感、清潔感を感じさせる。
8/11の米『FORTUNE』誌に『「パワー」への戦略ガイド』という面白可笑しい記事が掲載されていた。「大物、権力者と認めれるための(もしくは大物のふりをするための)いろいろな自己演出法」がチャート式になって特集されている。「この夏、秘かに周りに差をつけたい」方のために一部御紹介したいと思う。

このご時勢、もっとも因襲打破的な大物たちでさえ、より正統な服装傾向にあるようだ。
そして男女によっても差があまりないこともひとつの特徴だ。

POWER DRESSING

Man シャツ

しゃれたワイドスプレッドの襟元でフレンチカフスのもの、たとえばイギリスからの侵略者、
「ポール・スミス」のシャツ($190~360)のようなシャツはあなたが粋であることをそ
れとなく周りに察知させる力がある。

ネクタイ

控えめな感じの「アルマーニ」のネクタイ($135)がベスト。
(シャツの個性とぶつからないことが大事)

スーツ

上品な感じにスリムなライン、超高級ウール、3つボタンの「ブリオーニ」の
ダークスーツ($4,295)はダブッとしたスーツを打ち負かす。

時計

「パテック・フィリップ」。ヴィンテージモデルは何十万ドルもかかるが、
新しいものであれば、およそ$1万ドルから。

本当にパワフルな選択は、オーダーメイドで作る「ジョン・ロブ」の靴($3,500~)。
それではまったく死にそうな人は既製のバージョンなら$1,000以下で買い求めることが可能。

Woman ジュエリー

ジュエリー:シンプルだが価値のあるイヤリング。たとえば「ガブリエル・サンチェス」の
クオーツと18金ゴールドのイヤリングならどんな装いにでも合う。

シャツ

明るい色に染色されたシルクのブラウス、
たとえば「アルマーニ」のシャツ($695~$1,500)のような。

スーツ

スカートはプライベートジェットで週末旅行に繰り出す人たちにとってはあまり着心地がよい服装
とは言えない。パワフルな人はパンツスーツ、たとえば「ジル・サンダー」の黒のウールクレープ
のパンツスーツ($1,660)などを好んで着用。

時計

時計:繰り返すが、「パテック・フィリップ」が時計のスタンダード。。

本当にパワフルな選択は、オーダーメイドで作る「ジョン・ロブ」の靴($3,500~)。
それではまったく死にそうな人は既製のバージョンなら$1,000以下で買い求めることが可能。

POWER DRESSING

服装だけではなく、ジェスチャー(身ぶり手ぶり)もその人がパワフルな人(=権力のある人)かどうかをいつも明示してしまう。パワフルな人のジェスチャーとは?

ダブルハンド・シェイク

パワフルな人が他の人に会うと、まず両手で握手し、右手はそのまま相手と握手したまま、左手をはずして相手の腕にまわし、ポンポンと叩く。(クリントンのように)

エントランスで

パワフルな人が部屋に入る時、かれらは入り口で一度立ち止まる。
パワフルな人にとって部屋の入り口とは権力の絵の額縁なのだ。

フリー・ハンド

「トップ・ガン」であるパワフルな人は、何にも動きを邪魔されることなく、手ぶらで会議に登場する。彼等の知識と自信はすでに全て頭のなかに存在するからである。

CEOスラウチ

部屋の中で最もパワフルな人は真直ぐにきちんとは座っていない。リラックスして、いや、ほとんど寝転がっているのではないかということもある。「ポーズをとる」ということは下役のすることである。

資料:米『FORTUNE』誌

この記事を読む前に、溜池山王から地下鉄に乗ったところ、外資系でバリバリと仕事をこなしていそうなキャリアウーマン風の女性がパテック・フィリップの時計をしているのを目撃した。一見黒っぽい服装で、けして華やかな印象の女性ではなかったが、なんだか不思議な存在感のある女性だった。電車が揺れて私の前の手すりをつかんだその瞬間に目にはいってきた彼女のしていた時計はとてもインパクトがあり、こんな地味な感じの女性がパテック?と一瞬思ったのだが、改めてよく見ると彼女の服の素材、仕立てもよく、自分に似合ったものを選択してあり、バッグも一目ではわからないけれどしっかりとした高級ブランドのものを愛用しているようだった。その後にこの記事を読み、やっぱりと納得したが、なにも時計はパテックでなくてはだめ、シャツやネクタイはアルマーニでなくては、ということではなく、(理想的にはベストだが)それらのような仕立ての良い、美しい、自分に合った正統派の服装は、いつの時代、どこの国でも上品で風格があり、知的に信頼感溢れた様子に人の目に映るのだと思う。この記事を参考に、ご自分のここ一番のパワー・スーツ、パワー・ジェスチャーを見直すことも大切。
先日、弊社が取材を受けた日本経済新聞に掲載された記事『見かけで損してませんか?』は小さな記事であったが、非常に多くのお問い合わせをいただいた。いまや企業や国のトップだけでなく、どんな人も、男女問わず、内面だけでなく、外面も、「最高の自分」を発揮する術を身につける必要性を強く感じているからに違いない。

Text by Reiko Sugawara